妊活を始めるカップルは、妊活サプリについての情報を目にする機会が多いと思います。
中でも、葉酸については実に多くの種類が存在し、比較サイトも多いので迷う場合も多いでしょう。ここでは、葉酸の種類や目的、注意点についてご紹介していきます。
葉酸について
妊活を始めると、「妊娠前から葉酸を摂りましょう」という言葉をよく目にするようになります。
それはなぜか?「葉酸と種類について」と「摂取する目的」についてご紹介いたします。
葉酸って何?
葉酸はビタミンBの一種で、その名前の通り、モロヘイヤやホウレンソウなどの葉っぱに多く含まれるだけでなく、海苔や枝豆、鳥のレバー等、多くの食品に含まれるビタミンです。
水溶性のビタミンのため、野菜などの場合は水でゆでると溶け出て減ってしまいます。
葉酸はどんな働きをするの?
葉酸は、細胞増殖(細胞が分裂してどんどん増えていく)時の遺伝情報に関わる「DNA合成」に関わっています。
詳しく説明すると、細胞の中でホモシステインというアミノ酸がメチオニンというアミノ酸に変換されるのを助ける働きをします。メチオニンは、たんぱく質の合成や細胞増殖に必要なDNAの合成にも必要になります。
葉酸は妊娠前から摂取しよう
特に妊娠初期は、胎児の細胞増殖が盛んで、1つの受精卵から約10週(妊娠12週)でほぼすべての器官が出来上がるまでに成長します。
中でも、脳や脊髄になる部分である神経管の形成は早く、受精から約3週目(妊娠5週目)から行われます。そのため、特に妊娠前は妊娠中よりも葉酸の摂取を増やすように国からも勧められています。
胎児の神経管閉鎖
脳や脊髄となる神経管の形成は、妊娠5週程度からという大変早い時期から行われます。
通常、妊娠が判明するのは、早くて妊娠8週を過ぎたあたり(市販の検査キット)で、早い時期に判明できたとしても妊娠6週程度です。
しかし、『胎児の神経管閉鎖』は妊娠6週末には完成することが分かっています。従って細胞増殖に必要な葉酸がかなり必要な事も分かると思います。
だからこそ妊娠が分かってからでは神経管閉鎖不全リスクを低下するための葉酸摂取は遅いため、国も妊娠を希望する1か月前からの摂取を推奨しています。
神経管閉鎖不全って何ですか?
神経管閉鎖不全とは、脊椎の先天異常で、無脳症、二分脊椎、脳瘤があります。日本では2002年における出生1万人に対して無脳症が1.34人、二分脊椎が5.49人、脳瘤が0.9人となっています。これは外国より発症率が低い結果です。
例えばですが、電気コードの絶縁ホースが破れて銅線がむき出しになった状態をイメージしてみてください。
二分脊椎は神経管の下部に閉鎖不全が起きた場合です。脊椎の骨が閉じてないため、が脊髄の神経組織がむき出しになっていることで障害され、下肢の運動や膀胱や直腸の機能に障害がおきることがあります。
無脳症は、神経管の上部で閉鎖障害が起きる場合で、脳が形成不全となります。無脳症の場合、流産や死産の割合が高くなります。
脳瘤は、頭蓋骨の閉じなかった欠損部分から簡単に言うと脳(神経組織と髄膜)がはみ出した状態をいいます。しばしば水頭症を伴っていることがあります。
神経管閉鎖不全は葉酸不足が原因?
すべての神経管閉鎖不全が葉酸の摂取不足だけでおこるわけではありませんが、葉酸不足が原因とそれ以外とを見分ける方法はありません。
食事に含まれる葉酸が不安定で摂取量には個人差があるため、リスク低下を目的として葉酸を摂取する場合は、葉酸サプリメントの摂取を厚労省も勧めています。葉酸は特定保健用食品として認められています。
葉酸の種類について
葉酸サプリメントを国が勧めていることもお伝えしてきました。その葉酸サプリメントですが現在多くの製品が市販されています。そのため、どの葉酸サプリが良いのか迷ってしまうことも多いと思います。
ここでは具体的な製品については触れず、葉酸の種類について紹介します。葉酸には3つの種類があり、『ポリグルタミン酸型』と『モノグルタミン酸型』、そして『活性型』があります。
ポリグルタミン酸型
ポリグルタミン酸型の葉酸は、天然型で食品に含まれる葉酸になります。
不安定で含量が一定でないため、サプリメントには使用されません。グルタミン酸が複数(ポリ)結合しているタイプであり、その分吸収が悪くなっています。
摂取して、体内で利用される割合は約50%と言われています。逆に、食品からだと摂りすぎになることは考えにくいと言えます。
モノグルタミン酸型
一般的に、サプリメントに含まれる葉酸は、総てモノグルタミン酸型の葉酸になります。吸収を促すために、結合しているグルタミン酸を1つ(モノ)にしていることから、この名前になっています。
ポリグルタミン酸型の2倍の吸収率となっており、摂りすぎに注意が必要です。厚生労働省は1日あたりの上限を1000μgとしているため、越えない量であれば問題ありません。
サプリメントの通常量に従っていれば、通常の食事からの葉酸摂取があっても問題が無いといえます。
活性型
葉酸は体内で酵素によって活性化することで利用されます。葉酸が不足しやすい原因の1つとして、MTHFR遺伝子多型というものが知られており、その中の『TT型』で吸収率が低下することが分かっています。
このTT型で酵素活性が低下している場合には、活性型葉酸(5-metyl THF)を使用できれば効率的です。
しかし、日本ではサプリメントとして認められていません。さらに1日400μgのモノグルタミン酸型の葉酸サプリメントで葉酸不足のリスクが避けられることも分かっているため、活性型葉酸サプリメントを海外から取り寄せてまで飲む必要はないでしょう。
妊娠中も葉酸を摂取しましょう
いかがでしたか?葉酸についてと、特に妊娠初期の葉酸の重要性について、今回はかなり細かくお伝えしてきました。
そんな初期の胎児の発達に重要な葉酸ですが、初期だけではなく妊娠中も摂取した方が良いとも最近では言われています。
初期に比べると量は控えめになりますが、摂取していくことで、早産、妊娠高血圧症などの妊娠中毒症、胎児発育遅延、常位胎盤早期剥離などのリスクを低下する可能性がいわれています。
ただ、後期に入ると赤ちゃんの喘息リスクを高くするという報告もあるため、妊娠後期に入る前に、医師に相談すると良いでしょう。
筆者は不妊治療を受けていましたが、購入したサプリの味が苦手でどうしても飲み込めず、3か月前からの葉酸摂取をしていませんでした。
そして急遽決まった胚移植の前は活性葉酸を摂取し、その後は妊娠時期で種類が分かれるサプリを購入し、産後も使用しました。
そういう妊娠時期ごとの「妊活中と妊娠中の不安」に配慮したサプリメントもあるので、楽しく葉酸サプリを選んでも良いでしょう。
サプリに迷ったら、葉酸+ビタミンC等のシンプルなサプリを薬局やドラッグストアで買って飲んでおいて、自分好みのものを選択していくとよいでしょう。