育児休業給付金の制度はご存知でしょうか?名前は聞いたことがあっても、実際にどんな制度か知らない方もいらっしゃるかもしれません。育児休業給付金は1995年に導入された制度で、今までに何度か制度の改正も行われています。
今はコロナ禍で、育児休業も指定の期間では不足することも出てくる可能性があります。
今回は、育児休業給付金の基礎知識と、コロナ禍での育児休業制度について、また育児休業給付金は延長ができるのかについて、詳しく解説します。
育児休業給付金についての基礎知識
育児休業給付金制度は、1995年から導入された制度です。育児・介護休業法が根拠となっている制度で、2020年10月1日に改正され、今までよりもさらに拡充されました。
ここでは、育児休業給付金はどんな制度なのか、対象はどんな人なのか、詳しく解説していきます。
育児休業給付金とは
育児休業給付金は、育児休業中に国から給付金をもらえる制度です。育児休業は産前産後休とは違い、子どもを養育する義務のある労働者が取ることのできる休業のことです。育児休業を有給にするか無給にするかについては、労働者と使用者の取り決めによって決められます。
そのため、企業によって無給か有給かが変わるのです。しかし休業期間は長くなる場合もあり、その間すべて有給にする、という企業は多くないことが考えられます。生活に支障が出ないように支給されるのが、育児休業給付金です。
どんな人が対象になる?
育児休業給付金には、給付のために満たさなければいけない条件があります。給付対象となるのは、以下のような場合です。
・雇用保険に加入していること
雇用保険の加入が条件となっているため、自営業の方は給付を受けることができません。
・育児休業前の2年間で、11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
パートやアルバイトの方は、この条件を満たしていない可能性があります。契約内容や自分が働いた日数をよく確認しておきましょう。
・給付期間中、休業開始前に支払われていた賃金のうち、8割以上の金額をもらっていないこと
毎月10万円稼いでいた人が、育児休業中に毎月8万円以上もらっていると給付金はもらえません。
・給付期間中に働いた期間が、月10日以下であること
9日までの労働であれば、給付金を受給できます。
育児休業給付金はコロナが原因での延長はできる?
コロナ禍での最初の緊急事態宣言中、子どもが保育園に通うことができない、入れてもらえる場所が見つからないというニュースをやっていましたね。
育児休業給付金は、育児休業中に受給できる給付金です。育児休業給付金を延長して受給するには、そもそも育児休業が延長されなければいけません。
育児休業はコロナが原因で延長できるということがあるのかどうか、詳しく解説していきます。
育児休業給付金の延長受給が可能
育児休業は、延長することが可能です。育児休業給付金は育児休業中に受給できるものですので、育児休業給付金も延長して受給することが可能です。ただし、育児休業の延長には所定の条件を満たす必要があります。自分が延長することができるのかどうか、条件をよく確認してみてください。
延長受給ができる条件
まず前提として、育児休業をすることができるのは原則として子どもの1歳の誕生日までです。事業主にどのように申請したかによって、終了日は変わります。例えば6ヶ月まで育児休業を申請していれば、子どもが6ヶ月になったときに育児休業は終了し、育児休業給付金の受給もそこで終わりです。
6ヶ月になる前に、やはり1歳まで延長したいという場合は、理由を問わず無条件で延長が可能です。
1歳以降に育児休業を延長できる条件は、以下のとおりです。
・子どもが1歳になったときに、労働者本人またはその配偶者が育児休業をしていること
・保育所に入所できないなど、1歳を超えても休業が必要と認められること
上記2つを満たすと1歳6ヶ月まで育児休業が延長でき、育児休業給付金も延長して受給できます。さらに以下の条件を満たすことで、2歳まで育児休業と育児休業給付金の延長ができます。
・子どもが1歳6ヶ月になったときに、労働者本人またはその配偶者は育児休業をしていること
・保育所に入所できないなど、1歳6ヶ月を超えても休業が必要と認められること
例えば、コロナ禍で保育園への登園自粛を求められたため、育児休業の延長が必要になったというような場合は、問題なく延長が可能です。
自主的に保育園への登園を自粛した場合は、育児休業法の条件から外れてしまいます。「自主的な登園自粛であって、休業が必要と認められるものではない」ということになります。そのため、1歳以降の育児休業の延長、育児休業給付金の延長受給もできません。
育児休業給付金は育児休業が必要な場合にのみ延長できる
育児休業給付金は、育児休業中に受給できるお金です。育児休業が延長できれば、育児休業給付金も延長が可能です。
コロナ禍にあって、保育園への登園自粛を求められたり、保育園が募集を止めてしまって入るところがなかったり、ということもあるでしょう。そのようなときでも、条件さえ満たせば延長が可能というのはありがたいことですね。
自主的な登園自粛や、自主的に保育園に入らないという場合は「育児休業が必要」とは認められません。そこだけ注意して、育児休業の延長をするかどうか、よく検討してみてください。