妊娠・出産は、ママにとって命がけのライフイベントです。これだけ医学が発達した現代であっても、25歳〜34歳の流産率は10%ほどあります。
全年代を合計すると、14%という数字です。妊娠中には妊娠高血圧症など、いろいろな病気の危険性があるのです。
その中でも異所性妊娠、通称「子宮外妊娠」は、全妊娠の1〜2%の確率で起こると言われている病気です。今回は、この子宮外妊娠はどんな病気なのか、子宮外妊娠の代表的な症状は何かを解説していきます。
子宮外妊娠ってどんな病気?
子宮外妊娠は正式には「異所性妊娠」といいます。全妊娠の1〜2%で起こるもので、さほど発症率の高い病気ではありません。しかし治療には手術が必要な場合もあるため、楽観視していい病気ではありません。
ここでは、子宮外妊娠はどんな病気なのか、詳しく解説していきます。
子宮ではないところに着床し妊娠する
正常な妊娠は、受精した卵子が子宮内膜に着床して成立します。子宮外妊娠とは、その名の通り「子宮ではない場所に着床し、胎児の成長が進む」という病気です。この病気の厄介なところは、正常な妊娠ではない子宮外妊娠が発生しても、妊娠検査薬に反応し陽性反応が出るところです。
例えば妊娠に気付くのが遅れたり、病院に行く時間がなかったりということがあると、発見が遅れてしまう可能性があるのです。妊娠6週を過ぎても超音波検査で胎のうが確認できないと、子宮外妊娠の疑いがあります。
子宮外妊娠は発見が遅れると危険
子宮外妊娠では、卵管に着床するものがもっとも多く発生し、全体の90%以上が卵管着床です。他にも卵巣や子宮頸管に着床する、ということもあります。卵管は子宮から卵巣に向かっていく細い管です。
そのためもしも発見が遅れてしまうと、卵管の中で胎児が大きくなっていくことになります。当然、細い卵管では胎児が大きくなるのに耐えきれず、卵管が破裂し大量出血に繋がることもあります。
そのため、子宮外妊娠は早期の発見が不可欠となります。場合によっては流産を待つこともありますが、手術をともなう治療を迫られる場合も多くあります。
子宮外妊娠の原因
正常な妊娠は、一般的に卵管内で精子と卵子が出会い、受精卵となって子宮に運ばれていきます。しかし卵管が狭くなっているなどの炎症があると、卵管の通りが悪くなり卵管内部やその他の場所で着床してしまうのです。
性感染症の一種であるクラミジアや、細菌感染によって卵管が炎症を起こすことがあります。他にも、子宮内膜症や卵管、卵巣の手術経験があると、その部分が炎症を起こし子宮外妊娠を起こす、ということがあります。
子宮外妊娠の症状とは
子宮外妊娠は、できる限り早期に発見することが重要となります。そのためには、子宮外妊娠で起こりえる症状を知っておかなければいけません。子宮外妊娠の症状の多くは、子宮外で成長した胎児に圧迫されて起こる症状です。
ここでは、子宮外妊娠にともなって起こりえる症状について、詳しく解説します。
不正出血が続く
ひとつめの症状は、不正出血が続くことです。妊婦さんにとって出血の症状というのは非常に重大で、すぐに病院を受診すべきものです。自分が妊娠していることがわかっていれば、すぐに病院を受診するでしょう。しかし問題なのは、妊娠に気づいていない場合です。
生理不順などで妊娠に気付いておらずに出血、ということがあると、まず子宮外妊娠の可能性があると思わないでしょう。発見が遅くなってしまうと、卵管破裂による大量出血が起こりかねません。
そのため、自分の生理周期をしっかり把握しておき、妊娠の可能性がないかどうかをしっかりチェックしておくことが必要です。妊娠の可能性があって出血しているなら、すぐに病院を受診してください。
腹痛やお腹の張りがある
腹痛やお腹の張りは妊婦さんにはときどきある症状で、おとなしくしていればおさまるから、と放置してしまう人もいるかもしれません。しかし妊娠超初期にこの症状があった場合、子宮外妊娠で大きくなった胎児が、卵管や他の場所を圧迫して起こっているものである可能性もあります。
場合によっては、会話すら難しいほどの激しい腹痛が起こることもあります。胎児は日々細胞分裂を繰り返し、大きくなっていきます。検診で胎のうが確認できておらずに腹痛が起こった場合は、万が一を考えて病院に行くことをおすすめします。
自覚症状がないことも
一番厄介なのが、無症状の場合があることです。まれに自覚症状がまったくないまま胎児の成長が進むこともあり、妊娠に気づいていない場合は非常に危険です。子宮外妊娠では、ある程度まで無症状で、いきなり全身状態が悪化する、ということもあります。
子宮外妊娠の早期発見のために、体の状態の把握を
子宮外妊娠は、発生率はさほど高くありません。しかし、もしもかかってしまった場合、早期発見できないと命の危険がある病気です。子宮外妊娠は予防ということは難しいものですが、原因のひとつであるクラミジアや、細菌感染を予防することは可能です。
また妊娠がわかっていなければ、症状が子宮外妊娠のものだと気づけません。自分の生理周期をしっかり把握しておき、妊娠の可能性があるのかどうかを確認しておきましょう。くれぐれも発見が遅れることのないように、常に自分の体の状態を把握しておくことが大切です。